
PRAとは何か?業務自動化の3類型と6つの事例
RPA元年と呼ばれた2016年。国内の約20%(*1)の企業で導入が進み、急速にRPAの普及が進んだ2017年。
三井住友銀行はRPAを活用して「2020年までに300万時間分の業務量を削減する」と発表し、話題を呼びました。
「2025年までには、事務的業務の1/3の仕事がRPAに置き換わる(*2)」という予測もなされており、RPAはいま最も期待されている業務改善策の一つと言えるでしょう。
しかし、何故これほどまでに注目を浴びているのでしょうか?今回は、RPAの概要と実際の導入ケースについて見ていきたいと思います。
*1 総務省Webサイト「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」より
そもそもRPAとは?
ロボットによる業務自動化を意味する「RPA(Robotics Process Automation) 」は、定型化されたパソコン業務をロボットによって置き換える仕組みを意味します。
本来人間が行っていた「確認/承認/入力/帳票作成」などの業務をロボットに代行させることで、人手をかけずに同等の業務ができるようになるのです。
しかし、一言にRPAと言っても適用できる業務は様々。
その中でも共通しているのは、次のような性質を持った業務です。
- 一定のルール/基準に従って行われる「確認・承認業務」
- Excelや他のシステムからの転記が必要な「入力業務」
- 規定のフォーマットへ入力が必要な「帳票作成」
- 定められた帳票や資料の添付が必要な「メール送付」
- 売上や経費などの情報を統合し作成する「報告書作成」
つまり、経理などのバックオフィス業務や、数十~数百件の顧客に対してオペレーションを行う部門が主な対象です。
そして、これらの仕組みが注目され始めた背景には、政府が推進する「働き方革命」が関係しています。
今、RPAが注目される理由
女性の社会進出や高齢者の労働参加が進み「労働力人口」は若干の増加傾向にあります。しかし、2000年代に入り、日本国内の「生産年齢人口」は減少の一途を辿っており、根本的な解決策は確立されていません。
このような状況を受けて、「働き方革命」の最重要テーマには「生産性向上」が掲げられています。
人口減少時代と呼ばれるいま、「人間が担う労働力の代替」と「生産性向上」の両面で期待されているのが、ロボットによる業務の自動化「RPA」なのです。
RPAによる業務自動化の事例
近年、RPAが一大ブームになりつつある中、広義のRPA(事業部全体、全社への戦略的導入)から狭義のRPA(個々人の業務自動化)まで、さまざまなスケールの取り組みが行われています。
今回はその中でも、弊社顧客が活用しているRPAの具体例をご紹介します。
「属人化した複雑な業務」の自動化
事例1
複数の業務や案件に、特定の能力を持った人材をアサイン(割り振り)し、シフト表を自動作成する ― 福祉法人S様
事例2
各顧客に別々の仮想口座番号が案内されるようにし、振込みと同時にFAX受信を行い、消込作業を簡素化する ― N協会様
「手間のかかる定型業務」の自動化
事例3
申請があった顧客に対して、ログインIDと仮パスワードを発行し、請求書と合わせてメール送付する ― S法人様(eラーニング運営事務局)
事例4
入金確認を行った50~60件の顧客に対して、複数パターンの帳票を作成し、自動送付する ― A法人様(セミナー運営事務局)
「大量のデータ入力」の自動化
事例5
Excelに入力された数十名の個人情報を自動で読み取り、管理システムに登録する ― B法人様
事例6
申込みの際に入力された情報をシステムに保持しておき、見積書・請求書などの帳票に自動転記させる ― I法人様(資格発行業務)
いずれの事例にも共通していることは、自動化する前に「業務の棚卸」と「業務プロセスの整理」を行っているということです。
近年、RPAのニーズが増えるに従って「せっかく導入したのに思ったような改善効果が出ない…」「思うほど自動化できていない…」という声をよく耳にします。
このように、RPAのメリットが享受できない一番の原因は、前述の「業務の棚卸」と「業務プロセスの整理」ができていないことにあります。
RPAの導入前に必ず踏むべき2つのステップ
現状の業務にRPAを適用しても、必ずしも業務が効率化できるとは限りません。
その前後の業務との繋がりを軽視したがために、「その前後の業務に非効率が生じてしまった」「プログラムが思うように動作せず、思いもよらぬ事故が起きてしまった」という事例も散見されます。
RPAの導入に向けては、必ず事前に業務の「見える化(棚卸し)」「つなぐ化(プロセス改善)」という2つのステップが必要です。
せっかく導入した仕組みを無駄なものにしないためにも、導入の前準備には手間を惜しまず、しっかりと行う必要があります。
これからRPAの導入を検討する方は、現状の業務の見える化・つなぐ化を念頭に置いて取り組んでください。
※次回のコラム記事では、業務の見える化・つなぐ化の具体的な手法についてご紹介します。